山 行 報 告
2009/8/15〜16  奥秩父・入川大荒川谷 メンバ:大高ぁ、長谷川、加藤、新村  記録:長谷川


入川本流 行けるかなー? 焚き火 小荒川谷出合の滝 滑と苔のじゅうたん
20m2段滝 上部の滝 もうすぐ三俣 縦走路で一息



【コースタイム】

【15日】
 入川渓流釣場7:30→赤沢谷出合8:30→入川本流→中小屋沢出合9:40→第1ゴルジュ→第2ゴルジュ10:40→ 金山沢出合11:30〜11:50→ゴンザノ滝14:10→BP14:30

【16日】
 BP7:40→小荒川谷出合8:20→中の二俣10:15→三俣11:15〜11:30→稜線12:50→雁坂嶺13:30→雁坂小屋 14:40〜15:00→樺避難小屋16:30→岩道場17:30→黒文字橋17:50



【記 録】

【15日】
 Oさんが黒文字橋に車を置いてくるまで、入川渓流釣場駐車場でしばし休憩。いつもありがとう。

 入川沿いの林道を歩き、トロッコ軌道跡の遊歩道を赤沢谷まで歩く。30年以上前、Nさんと柳小屋に泊まり川又まで降りた時にあった線路と枕木がまだ残っていて驚いた。

 赤沢谷から登山道と別れ、谷沿いの踏跡を行く。昔の石垣が残っており、ここにも軌道が通っていたのかもしれない。悠久の時の流れがすべてを覆い隠してしまうのかもしれない。

 踏跡はすぐに不明瞭となり、谷に下りる。入川本流を右に左に渡渉を繰り返しながら進む。中小屋沢までは腰ぐらいの渡渉で何とか通過。両岸が狭まりいよいよ第1ゴルジュ。渡渉の繰り返しで身体が冷え切ってしまったので雨具を着る。1ヶ所通過できず高捲く。

 さらに第2ゴルジュの入口、Oさんが空身で瀞を首までの渡渉で進み、釜を側壁から対岸の水流にジャンプし通過。後はザックを浮き輪代わりにして引っ張ってもらい無事通過。この先はさらに狭まり、水流通しは絶望的となったので、右から高捲く。

 ゴルジュを抜けるとすぐに金山沢出合であった。本流通過に4時間近くかかってしまった。

 金山沢に入ると水量が激減し、いつもの沢歩き。さっそくミニゴルジュと小滝の連続が私たちを迎えてくれる。固定ロープなどもあり、楽しみながら進む。沢は倒木などで荒れた感じとなる。ゴーロと滝をいくつか繰り返す。途中、左岸にビバーク適地があった。

 しばらくでゴンザの滝、直登は無理なので左岸の明瞭な捲道をたどる。滝上には「ここにテントを張るべし、薪もたくさん用意してあるよ」と呼びかけてくるような平地があったので、迷わず「今日はここまで!」とザックをおろす。

 全員、薪集めに勢力的に時間を使う。Sさんは鋸片手に大奮闘。焚火がはじまり、それぞれからつまみも出てきてアルコールが進む。。

【16日】
 快晴。朝、再び焚火をはじめてしまったので出発が遅れる。

 すぐにゴルジュ帯となり奥にチョックストンを抱えた滝が落ちている。時間がかかりそうなので左岸から高捲く。しばらくで小荒川谷出合、2条の滝を落としている。対岸にロケーション抜群のビバーク適地があった。「うーむ」としばらく考えたが、「ここには薪がない、私たちの泊まり場が正解」と心に決める。

 沢は少し暗い感じとなる。滑滝が連続して現れる。トイ上の滝を右岸から巻き、滑滝をいくつも越え、苔蒸した2段20m滝は陽光に映え美しく、上段は左岸から捲く。

 釜の大きな5メートル滝を越えるとゴルジュの中に2条12m滝、飛渉を浴びながら左に廻り込むと水流の左が登れそうだ。意外に簡単。しばらくで中の二俣。小休止の後、三俣に向かう。この辺の滝はほとんど登れる。明るい陽射しの中シャワークライムも苦にならず楽しい。

 三俣から左に入り滝をひとつ越えるとガレとなったので、水筒を満たす。ここから嫌になるほど登ると稜線の登山道に出た。雁坂嶺を越え、川俣まで長い道のりであった。
 

【感想】   
《15日(土)》
 14日(金)の夜より活動開始。駅や自宅で各自をピックアップし、川又へ。ピックアップの関係上、所沢から秩父経由で川又へ行くが、渋滞はなくスムーズに到着。黒文字橋の駐車スペースを確認し、川又に戻る。黒文字橋から入川のゲートまで5〜6km。やはり折りたたみ自転車を積んでくるべきであった。

 下りだけとはいえ歩きでは長い。朝、ゲートにザックと3人を降ろし、私が黒文字橋まで車を置いて歩いて入川のゲートまで戻ることにする。ヒッツチハイクすれば大したことはない。黒文字橋から歩いて下ること1kmくらいを過ぎたころか、なんとかわいい小熊が20mくらい先の道を横断しているではないか!しかし小熊がいるということは親熊も近くにいるはず。

 山野井さんの事故が頭をよぎる。走ってはいけないといわれてもとっさに走ってしまう。ぐっと息をのみ、小走りに戻して元来た道に戻る。運よくすぐ車が下ってきたため、事情を説明して乗せてもらう。遭遇地点を車で過ぎると、ガードレールに小熊ともう一頭の姿がちらっと見えた。車の老夫婦にお礼をいって林道入口で車を降りる。ゲート先の林道は遊歩道に整備されている。

 森林軌道跡のレールは、交換ポイントを残っており、マニアにとってはよだれもの。映画「戦場に掛ける橋」で有名な泰緬鉄道を歩いた時のことを思い出す。秋は紅葉できれいなところであろう。赤沢谷出合いから入川本流に入る。

 第1ゴルジュ・第2ゴルジュとも釣り師が入るためか、しっかりいた巻道があり、結局泳いだのは1ケ所だけ。そこも加藤さんは巻いていた。あまりまじめに泳ぐと後が疲れるので、アプローチとしてはこの程度でいいかな。新村さんはもの足りないようだったけど・・・・。

 金山沢出合いで、大回りの登山道経由の2人組と出会う。金山沢の出合いは、はっきりしていて間違えることはない。金山沢はゴルジュと滝の連続でたのしい。三角岩は気がつかなかった。ビバーク出来る河原を過ぎると、それとわかるゴンザの滝。

 右を巻くと目の前にホテルが目に入る。時間も14:30だしネオンサインもなまめかしい。今日の宿はここだ。さっそく火付け盗賊改め、「焚き火の平蔵」こと長谷川さんがさっそく焚き火にかかる。バタコさんは今回も薪集めに忙しく、おじさん3人の酒盛りを尻目にせっせと1人働いていた。あれだけ集めた薪も、次の朝にはなくなっていたが・・・・。

《16日(日)》
 翌日の朝は長谷川さんのモーニングコーヒーで始まり、ご飯を炊いてキムチ雑炊と「長谷川さん家のおにぎり弁当」をこしらえ、ちょっと遅くなったけど、8:30に出発。

 昨日と違い今日は雲ひとつない快晴だ。すぐ目の前のゴルジュはあっさりト巻く。しばらく行くと小荒川谷の出合いに到着。ちょっと上がると、小荒川谷を正面に見るビューポイントの幕地ともう一か所、ホテルゴンザに勝るとも劣らない最適の幕地が現れた。

 昨日会った2人組もここに泊まったようだ。難を言えば薪が少ないことか。この後はこれでもかというくらいに、ナメと滝が連続し、しかも直登出来ることも多く楽しい。奥の三俣に到着すると、この後はもう稜線まで詰めの登りとなる。三角形のきれいな長谷川屋のおにぎりを2つ頬張り、急登に備える。もちろん最短の左俣に入り、一気に高度を上げて稜線へ、鹿道をたどれば藪こきもなく稜線へ出られた。

 夏の終わりを惜しむかのような快晴と雁坂トンネルの排気のせいか白骨化した木々の中を人に会うこともほとんどなく雁坂小屋へ。無人の小屋に咲くヤナギランが1泊しておいでよ」とほほ笑んでいるかのようだ。

 黒文字橋まで3時間、明るいうちに到着が可能だ。やはり黒文字橋に車をデポしておいて正解だった。泥又沢で痛めた右ひざがまた痛み出した。温泉に入ったら痛みがひいたので温シップだと思いずうっと温シップをしていたのが間違いか。

 長谷川さんに指摘されて「うーんそうかあ」と気がつく。しかし、膝というのは曲げなくても下山できるもので、なんとか遅れずに着いていくことができた。突出峠への道は、旧街道とのこと、東大の演習林地域になっており、歩きやすい。江戸時代の人々はこんなところを歩いて甲州と武州を往来していたのかと思うと、いろいろと考えてしまう。

 予定通りの時間に黒文字橋に到着し、滝川の道の駅で温泉に入り、その日の内に帰宅することができた。1泊2日であったが、充実した沢であった。(大高記)